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歯周病治療の進め方(歯槽骨の形態異常に対する対処法〜メインテナンス)

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歯周病治療の進め方③(歯槽骨の形態異常に対する対処法~メインテナンス)

歯槽骨の形態異常に対する対処法

  1. 骨外科手術(骨整形、骨切除)
  2. 矯正的挺出
  3. 抜歯
  4. 再生療法

それぞれについて詳しく説明いたします。

① 骨外科手術(骨整形、骨切除)

骨外科処置により、歯槽骨を部分的に削って凸凹をなくすことで、汚れがたまりにくい状態にすることができます。骨外科処置には二つの概念があります。

骨整形(Osteoplasty)

骨整形は支持骨を削除せず、支えになっていない(支持骨ではない)骨のみを削除し、生理的な骨形態を獲得する術式です。

骨切除(Ostectomy)

骨切除は支持骨も含めて削除するため、生物学的幅径(Biologic width)が得られない場合に行うことが多いです。支持骨が少なくなるため、元の骨量や歯根の長さ、根分岐部の位置などに注意する必要があります。

術式:歯間部のクレーター状の骨欠損への対応

パラタルアプローチ(上顎)
  • 歯間部のクレーターを口蓋側から除去することで、頬側の骨切除を最小限にすることができる
  • 頬側より口蓋側の骨の方に海綿骨が多く存在し、そのことにより術後の骨吸収がより少なくて済む
  • 頬側より口蓋側鼓形空隙の方が広く、アクセスしやすい
  • 口蓋側の方が会話、摂食などによる自浄性が高い
リンガルアプローチ(下顎)
  • 頬側の骨外科処置には限界があり、術後に棚を残すことにもなる
  • 下顎大臼歯は、頬側のルートトランクの方が短い
  • 下顎大臼歯は舌側に傾斜している
  • 下顎のクレーターは舌側にあることが多い
  • 舌側の鼓形空隙を広くすることで清掃しやすい状態にできる
メリット
  • 骨欠損を直視できる
  • 治療時間を最小限にできる
  • アクセスの面から治療を容易にできる
  • さらなる外科部位の広がりを少なくできる
デメリット
  • アタッチメント・ロス(歯に付着する上皮組織および結合組織の喪失)が起こる
    ※アタッチメント・ロスは大きな欠点であるため、術前にレントゲン撮影、ボーンサウンディングを行い、以下の点に留意して骨外科処置が適応か判断する必要があります

術前に考慮するポイント

  • 歯根の長さと形態
  • 骨欠損の位置と大きさ
  • 歯槽骨の幅
  • 歯根の位置
  • 骨欠損と隣在歯、解剖学的構造物との位置関係

② 矯正的挺出:Extrusion

歯牙を矯正的に挺出させることにより、骨や付着組織(セメント質や歯根膜など)を歯冠側に移動し、骨欠損を浅くする方法です。

ただし、部位によって相対的に垂直的骨欠損を新たに作ることになる場合や、挺出のみで骨欠損を改善できない場合は、挺出後に骨外科処置が必要なこともあります。

周りの歯の支持骨を削る量が少なくて済むことが矯正的挺出の利点です。

欠点としては、骨外科処置のみを行うよりも、矯正的挺出と骨外科処置を組み合わせて行う場合に期間が長くかかってしまうことが挙げられます。

③ 抜歯:Extraction

中等度~重度の歯周炎に罹患し、全体的に支持骨が少なく歯が動揺していて最終補綴物を連結する場合、全体としての支持骨を高いレベルで維持するために、特に垂直的骨欠損が進行した歯を抜歯することがあります。このような抜歯を戦略的抜歯と言います。

④ 再生療法

再生療法は、EMD(エナメル基質タンパク:エムドゲインR…歯の発生過程に似た環境を再現し、歯周組織の再生を促す材料)の塗布や、自家骨や他家骨等の骨補填材の填入により、失われた歯周組織を再生させる治療です。再生療法により、失われた歯槽骨をもとの健康な状態に改善させ、骨を平坦化することができたら、患歯を削らずに健全歯のまま保存できる可能性があるため、圧倒的にメリットのある治療法と言えます。

歯周炎により局所的に深い垂直性骨欠損がある症例では、切除療法で骨の平坦化が図れても、歯冠と歯根の長さの比率が悪くなってしまったり、根分岐部の露出などの別の問題が生じて、歯の保存が困難になったりすることがあります。例え保存できたとしても、歯の動揺をコントロールするために補綴物による連結固定の範囲を大きくする必要があります。

このような場合、再生療法単独、もしくは再生療法と切除療法を組み合わせて行うことで、支持骨の削除量を少なくすることができます。つまり、大きな骨欠損を小さな骨欠損に改善することが再生療法の目的とも言えます。

近年、新しい増殖因子の応用や足場の開発など多くの研究が盛んに行われていて、再生の分野は飛躍的に進歩していますが、骨だけではなく付着組織(セメント質や歯根膜など)を再生させることは容易ではありません。再生療法を成功させるためには、適応症かどうかを正確に判断する必要があります。

例えば、垂直性骨欠損の場合、骨壁の数・欠損の深さ・骨欠損の角度(幅)が重要な因子となります。骨壁が多く、狭くて深い欠損ほど再生療法に有利であり、逆に骨壁が少なく、広くて浅い欠損は難易度が高く再生療法に不向きのため、切除療法で対応することが多いです。

切除療法と比較して、予測した治療結果を得にくい予知性の低い治療法であり、適応範囲も狭いことを留意して適応かどうか判断し、治療を行う必要があります。

骨外科処置により、歯槽骨を部分的に削ってでこぼこをなくすことで、汚れがたまりにくい状態にすることができます。骨外科処置には二つの概念があります。

適応症

患者様において
  • プラークコントロール良好
  • 協力的である
  • 非喫煙者であり、全身的に健康である
デメリット
  • 垂直性骨欠損(3壁性、深さ3mm以上、角度25°以下が最適応症)
  • Ⅰ~Ⅱ度の根分岐部病変

歯周組織再生の3要素

再生療法を成功させるためには、下記の3要素が重要な条件となります。

1. 細胞(Cell)

歯根膜細胞、骨芽細胞、繊維芽細胞など

2. 足場(Scaffold)

血餅、骨移植材、GTR(Guided Tissue Regeneration)膜など

3. 増殖因子(Growth factor)

EMD(エナメル基質タンパク:エムドゲインR)、PRP、PDGF、FGF-βなど

実際の臨床では、下記の3つが再生療法のオプションとしてよく用いられています。

骨移植について

骨欠損部に移植骨(自家骨、他家骨、異種骨など)を填入する治療法です。歯周組織再生の3要素のうち、足場の働きを主とした方法です。自家骨の場合、細胞の働きも期待できます。

GTR(Guided Tissue Regeneration:組織誘導再生療法)

膜を用いて、上皮組織、結合組織の骨欠損への侵入を防止し、歯根膜や骨からの細胞増殖を期待する方法です。再生の足場と細胞の働きを利用する治療術式です。

膜には吸収性、非吸収性のものがあります。非吸収性の膜を用いる場合は、後で膜の除去が必要となります。術後に膜の露出が生じると、再生量が減少する可能性があります。

EMD(エナメル基質タンパク:エムドゲインR)について

歯根形成期に生じる歯周組織の発生過程を模倣した治療法です。増殖因子の作用を主とした方法です。

骨欠損の状態によっては、上記のそれぞれの術式を単独で用いても再生が期待できますが、実際には、これらの術式を併用することによって、歯周組織再生の3要素を適切に相互反応させ、より確実な再生をめざします。よく用いられる併用法は、EMDと骨移植を併用する方法、または、これら3つすべてを組み合わせる方法です。

例えば、骨壁が少なく再生の場の確保(スペースメーキング)が困難な骨欠損の場合は、すべての方法を併用する方が有効であるという報告があります。

EMD単独使用および併用法の適応症

EMD単独使用

骨壁が多く(3壁性)、幅が狭い垂直性骨欠損

EMD+骨移植材

1~2壁性、幅のやや広い垂直性骨欠損

根分岐部病変(Ⅰ~Ⅱ度)

EMD+骨移植材+GTR

骨壁の少ない、幅の広い垂直性骨欠損

根分岐部病変Ⅱ度(垂直性骨吸収がある場合)

※歯肉の性状、例えば角化歯肉の幅・厚みや歯肉退縮の有無なども再生療法に影響を与えます

術式:EMD+骨移植材の場合

1. 浸潤麻酔、ボーンサウンディング

浸潤麻酔、ボーンサウンディング(プローブで骨頂の位置を確認)を行う。値を知ると同時に骨欠損底部を探ることにより、術前に欠損の状態を正確に把握することが重要である。

2. 切開、剥離、肉芽組織や歯石の除去

歯肉溝切開で極力歯肉を温存する。歯肉歯槽粘膜境(MGJ)を越えない程度に全層弁で歯肉弁を剥離した後、骨欠損内の肉芽組織や歯根面に残存している歯石を徹底的に除去する。このとき、歯根の破折や穿孔などがないことも確認する。

3. 根面処理

骨欠損を確認し、ルートプレーニング後、EDTA液もしくはテトラサイクリンを用いて根面処理を行う。

4. EMD、骨移植材の填入

EDTA液もしくはテトラサイクリンを十分に生理食塩水で洗い流し、ガーゼなどで水分、血液をきれいにふき取った根面にEMDを塗布する。骨移植材を骨欠損部に適量填入する。

5. 縫合

必要あれば膜をおき、上皮組織の侵入を防ぐ。プラークが付着しにくい縫合糸を用いて、完全に一次閉鎖する。

6. 動揺のコントロール

術後、歯の動揺をコントロールすることが再生療法の鍵となる。ワイヤーなどで患歯と隣在歯を強固に連結固定する。必要あれば、ナイトガードの患側の咬合部分を削合し、睡眠時のブラキシズムにも対応する。

再生療法後、8~12ヶ月経過してから再評価(デンタルレントゲン写真撮影、プロービングなど)を行う。再評価により、骨欠損や深い歯周ポケットが残存していると判断した場合、確定的外科処置として切除的アプローチを行って改善する。

その際に、再生した組織を確認することができる。(リエントリー手術)

ただし、真の再生が得られているかどうかは、組織片を採取し組織学的評価を行わない限り確認することができない。再生ではなく、修復による治癒が起こっているだけかもしれない。しかし、臨床的に再生した組織片を採取することは難しいため、リエントリー手術で肉眼的に確認することが確実な方法である。

再生に関する用語の定義

再生:失われた組織(セメント質、歯根膜、歯槽骨など)が元の状態に回復すること
修復:失われた組織が、異なる組織により治癒することで機能を回復すること(ただし形態は回復しない)

歯周病治療の終了時

⑥⑦ 再評価・メインテナンス

治療終了後、メインテナンスを継続して行うことが、非外科処置及び外科処置に関わらず非常に重要です。

基本的に、失われた歯周組織は完全に元の状態には戻らないため、歯周治療は「cure:元の組織レベルに戻す」ではなく「control:現状の組織レベルを維持する」治療と言われています。そのため、患者様自身の毎日のブラッシング(セルフケア)と定期的なメインテナンス(プロフェッショナルケア)が、治療結果の長期的安定に必要不可欠と言えます。

歯周病治療の注意事項(リスク・副作用など)
  • 外科手術のため、術後に痛みや腫れ、違和感を伴います
  • 歯周組織再生治療は患者様の状態によって術後の経過が異なります(見た目が改善しない場合もあります)
  • 歯周組織再生治療は自費診療(保険適用外)となります
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